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「和のこよみも、月齢も、忘れない程度の情報でいいから、記載されているものが欲しい」
はじめはそんな思いつきだったような気がします。食で仕事をしている全くの素人の私が自分の思い描くような(というと少しオーバーですが..)ものがどうしても欲しくなり、多くの職人さんと呼ばれる手仕事のプロの手をお借りしてカレンダーを制作いたしました。 こだわりというと少し気恥ずかしいような気もします。ここでは、紙、そこにのる情報、紙の綴じ...そこにある私の考えと、なによりもその素材についてお伝えできればと思います。
手漉き和紙和暦と月齢竹の綴じ

手漉き和紙のこと
今回お世話になったのは、30代の女性和紙職人、石川まゆみさん。 美大を卒業し、強い意志とそれに導かれるようなさまざまの偶然により和紙職人となった彼女。サバサバとして気持ちの良い性格で、二人で話をはじめると ついつい長くなってしまうのですが...(笑。仕上がった和紙は、そんな石川さんの性格が現れているような、凛々とした美しさがあり 張りのあるものです。 手漉き和紙
手漉き和紙
乾燥コウゾ

■再生される和紙
和紙は、コウゾなどの原料となる植物を融解→紙に漉くという過程で製造されます。
まだ和紙が一般的だった、江戸時代。書いては漉き、書いては漉きを繰り返し、何度も再生されて使われていました。 現在は和紙を再生させる場合、多くはインクや墨を洗浄されますが、その当時は書かれた墨はそのままに漉き直していたものだから、しまいには灰色の紙に なっていたんだとか。
最近のリサイクルとか再生紙とか、そんなことが言われる何百年も前から、ごく当たり前にされてきたことなんですね。


■和紙は黄ばまない
本棚の本や紙は時間がたてば、陽に焼けて黄ばむ。それを当たり前のように考えていました。木製のまな板を、陽にあてますよね?紫外線によってまな板の汚れが落ちるため、私たちはまな板を陽にあてます。それと同じように和紙も陽に当てれば、黄ばむどころか白くなるんです。ただし、植物だけを原料にしていなければ、白くはなりません。それ以外の薬品が変色し、黄ばみを着けます。本カレンダーの和紙はもちろん、陽に当てれば白くなるでしょう。
また、洋紙に多い酸性紙は時間の経過とともにボロボロになり、いわゆる”紙”というもので残されているものはなかなか無いけれど、和紙は正倉院宝物殿 に残される文書でもわかるように、1000年以上もの年月を経ても残ります。
手漉き和紙
蒸したコウゾ
手漉き和紙
漉いた和紙を圧搾中

■和紙は土にかえる
そのほとんどが原料となる植物の和紙は、そこらへんに放っておけば当然土にかえります。(だからといって、ポイ捨てしないでくださいね(笑。)
もし、あなたがこのカレンダーを手にして翌年不要になってしまったら、漉き直して便箋にすることだってできるし、形づけて容器にすることだってできる。コウゾという植物が、カレンダーに形を換え、さらにまた別のものに...家具や着物、鞄や靴と、長く長くつきあっていくように、和紙ともそんな付き合い方ができたら、ちょっと楽しい気がしませんか?
(注:こちらでは翌年の漉き直しを受け付けてはおりません。別途、ご購入になられた方が和紙職人さんにお願いしてみてください。)


和暦と月齢           
おだやかな日本古来の時間の流れ、それを感じることができるきっかけの一つが和のこよみです。
仕事や家事で忙殺され、緑の少ない都心に住んでいると、ついついそんなことすら感じることができなくなりがち。春になれば土の息吹、夏には緑にしげる植物の生命力...そうした緑の多いところであれば、以前の日本であれば、当たり前のように感じられていただろう自然の移り変わりを、二十四節気や雑節などの節は教えてくれるような気がします。

同様に、月の満ち引きも自然の大きな流れを感じるもの。
初夏の満月のころに産卵する珊瑚やウミガメなどの海の生物たち。満月のころ水分を増し、伐採されると腐りやすい木々。科学的にそのメカニズムが解明されているわけではありませんが、月の満ち引きが何らかの影響を与えていることは確かなようです。そうそう、ベジタリアンやマクロビアンの女性は、満月か新月前後に生理があることが多いと言われています。私の周りにはそんな人も多くいて、私自身もそうなんですよ。月の力を感じられるとき、人は少し自然な姿にもどるのかもしれませんね。

市販されている多くの和暦や月齢カレンダーと違う点は、情報を限定していること。
それらの情報やその便利さによって、全体のデザインが崩れてしまうことがイヤで情報を限られたものだけ掲載しています。
月齢は、満月・新月・半月(上弦&下弦)のみマークで。また、和のこよみに関しては二十四節気と雑節、五節供。そして二十四節気の七十二候のみ。 ...となっています。ご了承くださいませ。
漁師さんやその他の自然と密接に関わるお仕事をされている方々などでなければ、都心で生活するような私たちであれば、これで十分かなと思っています。


竹の綴じ
綴じには、千葉県にお住まいのある方によるご好意により青竹を切って使用しました。この竹は、竹林の保持のため通常であれば伐採されてしまうものです。

また、和紙やイラストが気に入ってずっととっておきたい方のために、紙に穴をあけない、2本の竹で両サイドをはさむという形になっています。カレンダーとして使った後には数字の部分を切り離して、インテリアにも...。少し面倒ですが、月がかわりページを換えたい時には、両サイドの綴じヒモを緩めてくださいね。
それから、竹は伐採しヤスリで削る以外の手を加えていません。時間の経過とともに緑→黄→茶と変わる色の変化をお楽しみください。


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© Aki Misono